食虫植物の中でもっとも知られているのはハエトリグサ(ディオネア)でしょう。あっという間に葉を閉じてムシが逃げられないようにして捕まえるのが「閉じ込み式」です。しかし、素早く葉を閉じるには大きなエネルギーが必要であり、一度閉じた葉を再び開くのも一苦労。そこでハエトリグサが身につけた技とは!?
小石のように栄養にならないものが風に運ばれてきたり、雨粒が落ちてきた時にいちいち葉を閉じたのでは骨折り損もいいところ。食べて身になる虫がきたときだけ葉を閉じたい。そこでハエトリグサは葉の表面にある「感覚毛」呼ばれる針のようなセンサーでこの問題を解決しました。
虫が感覚毛に触れるとハエトリグサは葉を閉じるのですが、1回触れただけでは閉じません。一定時間のうちに2度触れてはじめて葉を閉じます。虫が動いていることを確認しているのです。
捕虫葉はただ虫を閉じ込めるだけではありません。時間をかけて絞り込むように変形して虫を動けなくしています。
捕虫葉の表面には小さな点がたくさんあります。これは「消化腺」といって消化液を分泌して閉じ込めた虫のからだを分解します。
虫を捕まえてしばらくしてから捕虫葉を開けてみると中に水が溜まっているのを見ることができます。ハエトリグサが消化するのは主にタンパク質です。昆虫の外骨格=殻の部分はそのままで中の筋肉などを溶かし水溶液として栄養分を吸収します。
栄養分の吸収が終わるとハエトリグサはまた葉を開きます。葉の表面に残された虫の死骸が風や雨によっていずれ外に落ちてしまいます。