ナラ枯れによるカエンタケとオオスズメバチ

2019年から東京都で猛威をふるっているナラ枯れ。私のふるさとの町田市でも、その被害はひどく、2021年は甚大と呼べるほどの被害と呼んでよいかと思います。夏場でもあるのに紅葉のように多くのナラ類の樹木たち。こうなってしまった樹木は、伐採するしか方法がないと言われています。

ナラ枯れの被害は、これだけでななく二次被害も起こります。その一つは「季節外れの樹液によりオオスズメバチ」です。ナラ枯れと、約5mmほどの小さな虫「カシノナガキクイムシ(カシナガ)」が樹幹に多量の穿孔を開けて、その内部に、病原菌をカシナガが運んでいることが原因です。そのカシナガが開けた穴から、季節外れに多くの栄養分を含んだ樹液が大量発生します。

秋も深まると、多くの甲虫類が自然界から消えていきます。11月上旬まで子育てをするオオスズメバチにとってこの樹液の栄養分は貴重な資源となるのです。但し、この集団が群がる樹木は、公園などの場所においては、利用する人々に恐怖を与えてしまいます。ナラ枯れ被害木の多くは、日当たりが良い場所のナラ類の樹木が多いので、なおその被害は顕著です。
但し、この樹液にたかるオオスズメバチたちは、何もしなければ人を襲うことはありません。それが唯一の救いですね。

もう一つ懸念されているのは、この猛毒きのこ「カエンタケ」です。調査によると、ナラ枯れ被害木の周辺に発生することが稀にあるとの報告がされています。今のところ、因果関係はわかっていません。とにかく、このカエンタケを見つけたら、触らないでくださいね。数グラムで人間を死に至らしめるほどの猛毒キノコです。

紹介記事

ナラ枯れとは?

1980年代末以降、日本各地でナラ類やシイ・カシ類の樹木の大量枯死が発生している。この大量枯死の特徴は、樹幹にカシノナガキクイムシ(以下カシナガと略記)という甲虫の多量の穿孔(センコウ・穴を開けること)をともなうことである。この現象は森林・林業関係者の間で「ナラ枯れ」「ナラ類集団枯損」「ナラ類集団枯死」などと呼ばれている。
 ナラ枯れは、長い間虫害とされてきたが、近年の研究により、ナラ枯れで樹木が枯れる原因は菌類であること、および、病原菌をカシナガが運んでいることが明らかになった。
ナラ枯れとは、「カシノナガキクイムシが病原菌を伝播することによって起こる、樹木の伝染病の流行」である。

株式会社緑生研究所より
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