設置する場所&許可を得た後は、自然入居を待つための巣箱を用意します。それを待ち箱と呼びます。分蜂する群の数の多さも考慮する必要もありますが、基本的には3段を基本とした巣箱を用意しましょう。
巣箱のサイズは人それぞれで異なります。私の場合は1段の箱の高さが約12cmとして作成しており、地表から屋根までの高さは巣門を含めて約55cmになります。
巣箱の組み方や作り方は時間のある時に解説できればと思います。巣落ち防止棒の取り付けもお忘れなく。
まず大切なことは下記です。
設置場所の多くは屋外となります。巣箱は杉材を用いますので、雨に対する耐性もあるので安心ですが、やはり天板は水分が浸透しやすいので必ず屋根材が必要になります。屋根がなく、雨水などが浸透すると日本ミツバチたちは逃去してしまいます。特に待ち箱の場合は、そのような条件下では入居先として選んでもくれません。材質は、木材・トタンなどでOKです。
ミツバチは暗闇を好みます。継ぎ目から差し込む太陽光などを最初の設置時にはガムテープなどで塞ぐようにしましょう。入居が完了すれば、ミツバチたちがミツロウで隙間を塞いでくれます。これは光を防ぐことよりも、作られた蜂蜜の匂いが巣外に漏れるのを防ぐためです。匂いで盗蜜(同種やセイヨウミツバチ)やスズメバチの襲来を未然に防ぐからです。
自然入居(決定)される条件で、個人的に私が重視しているのは巣門の高さです。
新たな入居先を偵察バチが検分するのを毎年観察していますが、とにかく出入口を出たり入ったりをしつこいように繰り返します。何度も何度も。これは以下のことを検分しているかと思います。
女王バチの体格は働きバチより大きいです(近親交配を繰り返して小さい個体もいますが)。さすがに女王バチが入場できないほどの高さしかない待ち箱には入りません。最低でも6mmあればOKです。そして今後夏から秋にかけて襲来するであろう最大の天敵は「スズメバチ」。
コガタスズメバチ、キイロスズメバチ、そして最大のライバルであるオオスズメバチ。これらの狩りバチは8mm以下では巣内に侵入することはできません。なので必ず巣門の高さは6mm以上8mm以下にしてください。
分蜂時に活躍するのは、働きバチから分蜂(巣分かれ)のときに偵察バチとなって、新たな営巣地を探します。まずはこの「偵察バチ」に設置した待ち箱を見いだしてもらうことが重要なポイントとなります。
待ち箱に偵察バチを惹きつけるには下記の誘引アイテムや手法があります。
基本としてはミツロウをネット購入して、巣門や巣箱内の天板に塗ると効果があります。特に天板部にガスバーナー(弱火)でミツロウを塗りだくると更に効果があります。但し、塗りすぎや入居できなかった場合はカビが生えるのでメンテナンスをお忘れなく。
そして、さらに効果的なのがネット購入できる「誘引ルアー」です。近年人気で様々な種類が販売されています(まがい物のあり注意必要)。費用は約4,000円ほどしますが、効果は確かに実証済みです。
そしてそしてさらに効果的なのはミツバチ蘭と呼ばれる「キンリョウヘン」です。近年は多種のミツバチ蘭(ミスマフェットなど)も販売されていますが、なによりも効果は絶大ですが高価です。この分蜂時期のみ日本ミツバチを惹き寄せるフェロモンを排出する不思議なランです。びっくりするくらい効果があります。
但し、花の開花するタイミング&期間の調整が難しく、うまく生育させないと分蜂時期が終わる頃に花が開花することも多々あるほどの難しい植物です。
中国原産のランで、小型のシンビジュームの一種です。 キンリョウヘンが注目されているのは、花が発するフェロモンがニホンミツバチを呼び集めるためです。 そのため「ミツバチラン」とも呼ばれています。